クローン病の市民公開講座「クローン病ってどんな病気」  
大阪大学医学部附属病院   機能制御外科学 井上善文先生    炎症性腸疾患の耳袋 開発サイト
2008.2現在 川崎病院 外科 総括診療部長をされております。

基調講演 HPN(Home Parenteral Nutrition ) その2
ヒックマンカテーテルはいいのですが、このカテーテルは、輸液をやってない時でも「私はやっているんだ。切れたらどうしようかな」と思ってなければならないんですね。

皮下埋め込み式カテーテルが使われるようになってきました。ポートの場合には、体外につなぐ部分がないために輸液をつなぐ部分に気をつかう必要がありません。
 

このカテーテルを使い始めたのは、もう12、3年前なんですけれども、風呂にドボンと入れること、泳げるということを売り物にしました。

完全皮下埋め込み式カテーテル*2というのがどういうふうになっているかというと、シリコン製のカテーテルと、リザーバーに分かれます。名前が非常に長いので「ポート」と呼ばれてます。

これが断面図です。針を刺すところが圧縮シリコンゴムでできています。シリコンゴムのところに針を刺すと、ここにスペースがあります。このスペースに輸液が入ると、ここからカテーテルに取り込まれます。
*2 ポートあるいはリザーバーとも呼ばれています。

実際に入っている姿というのは、ここにポートがあってそこから皮下トンネルを作って鎖骨下の静脈から上大動脈に入っています。

実際の手術でどうやって作っているかといいますと、この手術は、あんまり慣れない人にやってもらうのはどうかと思います。

この方の場合は、橈側(トウソク)皮静脈切開というのをやってそこからカテーテルを入れることによって乳房の下からポケットを作って、そこから皮下トンネルを作っていきます。 ここの静脈切開は、難しくなくて時間がかからないんです。局所麻酔だけで、それ程痛くないんですが、皮下トンネルを這わせるのに20数cmあります。ずっと麻酔をするのですが、痛いんです。

 

どうするかというと、「がまんしなさい」といってやらざるをえないところがあるんです。 患者さん自身が痛みをがまんしてもらって(ポートを埋めておけば)、何年も保ちます。

最近、グローション(Groshong)ポートというのが出ています。普通のカテーテルは、先に穴があいてますけれども、グローションポートというのは、先端が閉じてます。穴は横にあいてます。 これはどういうことかといいますと、通常の静脈圧では、カテーテルが閉じた状態なんですね。 輸液をしない時には、カテーテルが閉じてますので血液が逆流しません。輸液を入れる時に圧がかかるとバルブが外側に開いて輸液ができます。陰圧をかけると内側に開いて血液なども採集できる構造になっています。

当初は、これはいいアイディアだということで発売になりました。これを発明したグローションという人は、かなり金を儲けていると思いますけれども、長期間、何年でも保たせたいカテーテルとして管理するのだったらグロションポートは使うべきではありません。

 このポートは、ヘパリンロック*3をしなくてよいという特長があります。ガンの末期の患者さんを家に帰したい、短期間に指導して帰したいという時にこっちの方(グローションポート)が楽なんです。しかし5年、10年と管理したいと思ったら、グロ−ションポートというのはお勧めできないと思います。
*3カテーテルと輸液パックを外すときヘパリンを入れて、血液を固まらなくすること。

実際、針をついている写真ですけれども、皮膚を消毒して、針を刺して、固定する訳です。問題は、この時に痛いか、痛くないかということなんですけど、痛いのです。
これが刺しているところです。先ほどシリコンゴムの膜がありましたかけれども、あの部分を22ゲージ(の大きさ)の針で2,000回突けるということがいわれてます。毎日、突いても4年ぐらいという計算になります。
この針は、非常に特殊な構造をしているということを理解していただきたいです。
 先ほどの(圧縮した)シリコンゴムに針を刺すと、どんなに細い針でもゴムが削られて穴があくんです。細ければいいだろうということで27ゲージの針で刺している病院もありますが、どんなに細い針でもゴムが削られていっていずれ穴があきます。どこが違うかというと、普通の針は、真っ直ぐになっていて(先端を)斜めに切っているんです。そうすると先端が行く方向に向かってあいてます。だからこの部分で削っていく訳です。 
このヒューバー(Huber)針*4は、斜めに曲げておいて、針をその方向にそってカットします。ゴムを削る率が非常に低くなります。
*4 ヒューバー針もしくは、コアレスニードル、ノンコアリングニードルなどとも呼ばれています。
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